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3次元CADを利用した21世紀のものつくりの取組み (第1回) |
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齊木英夫氏 |
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暗黙知と形式知の「お値段」 |
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こんにちは。ヤマハ発動機の齊木です。本日はすごく大きな題を頂きまして、どうしようかと考えたのですが、今私が考えていることを少し整理して事例を交えてお話できればと思います。まずは「情報と価値」ということで、暗黙知・形式知の話からスタートさせていただきます。 私の所はオートバイ屋なので、業務のプロセスは 開発 と大きく3つに分けられます。開発のための情報は、最初はそれぞれの人の頭の中にあるので暗黙知です。それが言葉になりいろんな人に伝えられて行く事で形式知になる。で、物になってお金になる。そして、金をフィードバックさせて新たな経営資源にかえるわけです。 暗黙知と形式知は共に「情報」と捉えられるわけですが、私なりにこんな例を考えています。 コックさんの技能は基本的には暗黙知です。言葉ではなかなか伝わらない。だから、助手はお鍋を洗いながらお鍋の底をこすって味を覚える、なんて修行の仕方があるわけです。情報そのものも個人所有、相手にするお客さんもほぼ個人になる。そしてその分だけ情報の価値が高くなる。 暗黙知と、形式知の情報価値をこの例で比べてみましょう。 食べた栄養価、味はあまり変わらないかもしれませんが、金額に大きな差が出ます。形式知化する事によって量産が可能になり、量産することによって単価は安くなる。暗黙値の状態では量産出来ないけど単価は高い。そこを頭に入れておいて下さい。
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我々はオートバイや車のエンジンなどの「道具」をつくって社会に提供しています。が、それだけではありません。ソフトウエアとしてヤマハのオートバイを使う喜びと、ヤマハというブランドを持っている喜びを含め、トータルとしての「物」を社会に提供しているのが製造業なのです。 道具だけの機能では、わざわざ高いお金を出して買ってくれることは少ないのです。例えば我々の商売ですと、ある国ではコピーのオートバイがたくさん走っていたりします。安いコピーを買う人は、走ればいい、曲がればいい、2人乗れればいいということですよね。そういう人たちにとっては道具でありさえすればいい。 |
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「もの創り」「もの作り」「もの造り」 |
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「ものつくり」と言いますが、私は「つくり」を「創り」「作り」「造り」の3つにわけています。「創り」はクリエイトです。「作り」は無形で小規模な作成。「造り」は有形で大規模な作成という意味で使っています。 ものつくりのプロセスの中には「創りの領域」「作りの領域」「造りの領域」の三つの領域があると思います。
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「もの造りの舞台」は、ある品質さえ確保できれば人件費が安いところに移動します。たくさんの産業が中国に移動しています。そこで物を造ると、人件費が安いんです。品質が確保できれば、産業が移動するのは簡単です。我々のように海外に市場がある場合、市場の近くに「もの造りの舞台」が移動するのは非常に有益です。「造りの領域」はそういう人件費の安いところに行ってしまうのではないでしょうか。金型だって、ただ単に客先から3次元のデータを貰ってCAMで計算して金型を削るだけなら日本にいる必要はなく、中国でもポルトガルでもどこでも出来てしまうのではないでしょうか。 じゃあ、金型は大量生産をにらんだ「造りの領域」だから日本ではもうだめなの?と言えばそうではありません。型設計や型を作るノウハウなどは実は非常に知識集約的業務で、どちらかというと「創りの領域」です。日本はそういう「創りの領域」でがんばらなきゃいけない。そうしないと21世紀には日本のものつくりはなくなってしまうぞ、とおおげさですけれども私は思っています。 |
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「もの創り」のためのCADが必要 |
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| 私たちはESPRi(エスプリ)という自社製3次元CADを使用しています。「いつまでも内製システムにしがみついてて、自分がシステムを作るのが好きなだけだろう」などと色々言われていますが、そうではない、とここで改めて皆さんの前で言いたいと思います。
世間には「3次元CADモデルがあればなんでも出来ます!」なんて言う人がいます。また、雑誌にもそういったことが沢山書いてあります。雑誌の編集者に「何でそんなこと書くの?」と聞いたら、「いや実はスポンサーがそういうとこなもんだからそう書かざるを得ないんだ」と言ってました。「雑誌を信用しちゃいけない」ということをここで改めてお伝えいたします…(笑)。 「3次元モデルがあれば物が作れます」っていうのは「造りの領域」の話なんですね。大事なのは3次元モデルを造るプロセスである「創りの領域」。そこを忘れてはいけません。 我々の目標は「CADで3次元モデルを作ること」ではありません。CADを単なるモデリングツールにしていないか?と反省しなくてはいけません。我々がCADを使ってやりたいのは「設計をする」そしてその設計の結果を「後工程に伝える」ということです。後工程に伝える情報の中に「設計意図」と「開発意図」を折り込むこと。それが「設計をする」ということです。 第一、 はなからソリッドで設計しなさいというのはありでしょうか? 皆さんが何かをつくろうとした時には、たぶん紙の上に鉛筆でスケッチを描くと思います。人が暗黙知を形式知化していくというのはそういう行為だと思うんです。 反省というのは私たちが反省しているわけではなく、そういった反省をCAD業界にしてもらいたいのです。日本ユニシスは既にそういった点をわかってシステムを考えてきてるなと私は認識していますけれども。 |
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| 第2回につづく・・・ | ||
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