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「松下電工におけるコンカレント・エンジニアリング」
―中国に勝つものづくりを目指して−
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松下電工株式会社 生産技術研究所
製造システム開発センター 所長 小畑外嗣 氏
−本稿は弊社主催「MOLDセミナー2002」におけるご講演内容の収録です。
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松下電工の目指すコンカレント・エンジニアリング
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コンカレントエンジニアリングが目指す姿は、デザインから金型設計までの全ての商品開発の一気通貫と同時進行です。それから、たとえばCAEなどを駆使しての高信頼商品開発の仕組み作りです。情報武装によるインテリジェントな五設一体ですね。
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五設一体というのは、商品設計、販売設計、生産設計、設備・金型設計、工法開発設計の5つの設計を担当している人が常に連携をとりながら商品開発を進めることで、もともと日本企業ならどこでもやっていることです。
しかし、これは欧米では非常にユニークなめずらしいやり方です。 欧米では仕事はすべて分割され分担されていますから。
実は1980年の後半に日本の自動車の開発があまりにも早いということで欧米の学者が日本に調査にきていろいろ調べた結果、日本では生産技術セクション・商品開発セクションなどがセクションを越えてしょっちゅう話し合いをしてる、これが違うんだということになりました。
そこでサイマルテニアスエンジニアリングということばで日本を真似しようとしたんですね。コンセプトは垣根を外すということです。
ところがなんぼやってもうまくいかない。どうも人間系でこれを実現するのは無理だということで、アメリカの得意なコンピューターのデーターベースで連動したらいいだろういうことになりました。
確かにコンピューターの連動も武器になる、それだったら日本の五設一体の考え方とコンピューターの利用、両方いいとこ取りしたらいいんじゃないかというのが、松下電工の「情報武装」のコンセプトです。
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コンカレント・エンジニアリングの狙い
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コンカレントエンジニアリングの第一の目的は商品開発期間の短縮です。商品開発が遅れると33%の利益を失う。それくらい商品開発期間を短縮するのは有効です。現在の1/2に短縮するのが目的です。
もうひとつはコストの削減。商品開発の企画段階、基本設計段階、まだ商品の5パーセントしか決まってない時点で、その商品のものづくりコストの8割方が決まってしまいます。
商品企画担当者がものづくりの情報を知っていれば無理の無い商品企画ができ、コストは大幅に削減できるのです。ものづくりの情報を知らないと、高コストの内容で商品開発が進んでいってしまう。だから、できるだけ下流の情報を知った上で商品企画開発をやらなければいけないんです。
ITを使ってイメージ化すると、この商品のためにはこういうものを作らなければいけないという下流の情報が明らかになりますから、大変に有効です。
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家電商品におけるコンカレント・エンジニアリング
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松下電工は、300台以上の3次元CADを有しております。松下電工は節操のない会社で10種類くらいのCADを使っています。今日はユニシス主催なんで「松下電工の3次元CADは全部CADCEUSです」と言うと主催者側は喜ぶでしょうけれども、残念なことにそうはなっていないです。
CADCEUSの発売が3年か5年早かったら我々はIDEASとかCATIAを買わずに、CADCEUSを買ったんですよ。大昔も2次元のUNICADの発売が3年早ければ松下電工が500台以上のCADAMを買わなくてもすんだのに、UNICADが出て来たのは検討時期の3年後だった。
中身はいいのに、とにかく商売下手なんですよ。全部できてなくても、機能の2/3位できたら「できた!」と言えばいいんですよ。それを、質問すると正直に「まだ未完成です」なんて言うもんだから、事業部の担当者はCADCEUSを買わずに、「できた、できた」と大声でいうIDEASとかCATIAを買いあさることになるんです。
松下電工では彦根工場で家電商品を作っています。設計短縮のためにITは使いますが、それだけではだめだということで、工場に3次元CADを備えた3次元設計室を作り、デザイナーも製品設計者も集めて一緒になって製品を作っています。
3次元CADでデザインし、それをもとに製品設計者が評価します。それを何回かやってOKになったら光造形を使って樹脂で製品を作って機能評価します。機能評価がOKになったらこのデータから金型設計をまた三次元でやる。
ここまではITを使えば短縮できますが、問題は金型作りです。金型作りはマシニングセンターとNC放電という道具立てが昔と変わらず、ここの工期短縮が難しい。
弊社の家電商品の約55%は成形品の最終個数が3万個以下です。たぶん今パソコンとか携帯電話という商品はみんなそれくらいでしょう。だから省コスト生産が必要なんです。そうは言っても3万個を成形で打つためにはやはりきちっとした金型がいるわけで、50日間位かかってしまいます。
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コンカレント・エンジニアリングの3大機能 現状と課題
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コンカレント・エンジニアリングには3つの機能があります。
■ コンカレント・システム
■ フロント・ローディング・システム
■ ラピッド・プロダクション・システム
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コンカレント・エンジニアリングの柱の1つであるPDMには、データ管理・部品構成管理・ワークフロー管理という3つの面があります。
松下電工は社内外600箇所以上がネットワークでつながっています。プロペラファンをコンカレントエンジニアリングで作成したときにPDM機能を入れてみようと思いまして、WEBを使って、設計データ・CAMデータ・標準データを管理する商品開発データベースを作ってみました。
結論だけいうと、市販されているPDMアプリケーションと大差ないレベルまで、意外と簡単に作れました。でもワークフローの部分だけはちょっと厄介でできませんでした。市販のPDMはその辺を相当検討した上でのアプリケーションになっていますので、やっぱり選択肢としては売っているやつを買ってきてベンダーさんと一緒にカスタマイズするのが一番早いと思いますが、自前で作ることも不可能ではないと思いました。
課題の1つは金型のCADCAM。様々な自動設計システムの取り組みをしましたが、結局は使い物にならなかった。
7事業所のうち1つが使っているだけです。そこで、金型専用の金型PDMをCADCEUSベースの金型3次元設計システムと連動させ、効率化を図っています。PDMに埋め込まれた過去の資産を形式知とし、現在の設計の手順をナビゲートしながらCAD上で対話的に処理していく設計ナビゲーション機能を実現しています。
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もう一つの課題はフロントローディングシステム。いかに下流の情報をつかむかが大事で、商品開発の初期段階で生産設計、品質の作りこみ、コスト見積もりができる事前評価システムを構築しました。
また、課題ではないのですが事業部には格差があります。生産技術研究所は試作から金型までを応援しています。そのため、非接触3次元計測器やRPを活用し、デザイン設計、設計評価、商品試作から少量生産金型までを素早く提供しております。
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コンカレント・エンジニアリングの推進の基本的考え方
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最後にコンカレントエンジニアリング推進の基本的な考え方をお話しておきます。
まず会社トップをリーダとする全社活動として進めなければなりませんし、プロジェクトの中では人材育成も計ります。いきなり全ての商品に対応するシステムを作るのではなく基幹商品をモデルシステムとし、標準化を伴った分析を行い内容をDB化してきます。成功すれば他製品に適用します。
ハードソフトの選定では、既存システムとのリンク・カストマイズ性・サポート力など、柔軟な構成がとれるシステムが望ましいでしょう。自社ノウハウを内蔵できないシステムは意味がありません。
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以上、1時間ほど貴重な時間を頂きお話をしてきましたが、皆様の生産性向上のヒントになれば幸いです。ありがとうございました。 |
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「松下電工におけるコンカレント・エンジニアリング ―中国に勝つものづくりを目指して−」はこれで終了です。
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