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自動車用プレス金型 ソリッド設計への取り組み (第3回)


今回は全3回の最終回です。前回は3つの世代別にソリッド設計移行への段階について紹介していただきました。引き続きいすゞ自動車株式会社 車両部品技術部 型設計グループ グループリーダー 染谷隆志 氏にソリッドデータの活用と今後の課題についてお話しいただきます。本稿は2003年12月に開催しました、CADCEUSユーザフォーラムでのご公演内容です。

   染谷隆志 氏 プロフィール

1980年いすゞ自動車株式会社に入社、造型部に配属され、以後18年間プレス金型の設計業務を担当。この間、ジェミニ・エルフ多くなどプロジェクトに携わる。また、CAD化推進のためのソフト開発も担当し、設計合理化に成果をあげる。現在は型設計の3次元CAD化推進の業務に就く。
     

3Dソリッドデータの活用(後工程との連携)

 

型設計で作成したソリッドデータを活用する事例を何点か紹介します。

1点目は鋳物鋳造用発泡製作のためのデータ供給です。現在、鋳物鋳造メーカーさんでは発泡モデルの製作にソリッドモデルを積極的に活用し始めています。また、型設計に対しても3Dのソリッドデータを供給してほしいという要求がとても強くなってきています。

従来の2Dベースの型設計ですと、鋳物の部分の寸法が入っていないと発泡の手配ができませんでした。しかし、3D設計に移り、2Dでの設計よりもかなり早い段階で鋳物の手配が可能になってきています。こういった、手配の前倒しと鋳物の鋳造メーカーさんでのソリッドを使ったいろんな合理化、発泡製作の合理化により、鋳物の納入納期が非常に早くなってきています。このような目的のために、3D設計のソリッドデータを鋳物メーカーさんに供給しています。

2点目として、型設計で作成したソリッドデータを活用して、FEMの強度解析を行っています。すべての型に対して行っているのではありませんが、例えば型固有の要件、スクラップを流すために鋳物がトンネルになっているような部分、型設計の裏付けという意味で例えば型の吊り具の部分、その他、強度的に心配な部分の確認が必要な場合に強度解析を行っています。例えばトリム型で「鋳物のリブを従来の設計より5ミリずつ薄くしてみよう」ということを目的に解析を行っています。

ソリッドデータ活用の3つ目の事例として、生産プレスのトランスファーフィンガーとの干渉確認を行った事例をご紹介します。

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上型をプレス機械に取りつけたような状態で上下させ、トランスファーフィンガーを軌跡に沿う形で動かすアニメーションを作成し、干渉をチェックするのが見栄えもよくてかっこいいのですが、アニメーションを作成するには結構手間がかかります。そこで、設計の中でソリッドデータを利用して簡易的に干渉チェックができないかということで、フィンガーの軌跡の干渉立体を作ってデータベース化しました。設計者はフィンガーの干渉立体を自分が作ったソリッドデータに取り込み、金型と干渉するかチェックすることが可能になりました。

ソリッドデータ活用の最後の事例は、金型構造部のNC作成との連携です。

型構造のソリッド設計取り組みのところで紹介しましたが、我々は第三世代から本格的に型構造の無人加工に取り組んでいます。そのため、ソリッドデータにつける加工属性をどういった形で実現すればよいかを、NCショップと型設計ショップの間で話し合い、取り決めをルール化しました。

型設計ではそのルールに従って、加工する部位の用途や仕上げ基準などをソリッドデータに属性として付加しています。例えば「金型の中のスライドプレートと摺動する面である」とか、あるいは「スプリングを取りつける座面である」など、金型における座面の用途を加工属性として付加します。

NCショップでは、Diestacker (注:CADCEUS/PressDesignと連動するCAMシステム)を使って、CADデータに付加した加工属性を自動で読み取り、加工の用途にあった加工条件を設定してNCデータを自動ではきだしています。この手法でNCデータ作成工数が大分削減されています。
     

工数半減化への課題と対応策

 

これまで紹介させていただいた各取り組みと設備面の改善効果もあり、金型設計・製作の工数を低減することに成功しています。具体的な数字としては、型設計のソリッド化に取り組む、1999年以前と比較して全体で約14%ぐらいの工数削減となっています。今後は更なる工数削減、およそ半減化に向け活動を一層加速していきたいと考えております。

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そのための1つ目の課題が、型の工程設計の品質向上です。工程設計の初期の段階でモデリングを開始していますが、そのモデリングと成形性解析をうまく連携させて、この段階で充分な成形性のトライ、いわゆる試行錯誤を行い、後工程ではスムーズに金型製作が流れるようにしたいと考えています。

今後の課題の2つ目として、1つ目の課題と重複する部分もありますが、トライアウト段階での出戻りの削減、トライ工数の削減があります。

トライの段階での工数削減には、前工程での品質が非常に重要ということで、データの品質向上に向けた活動が必要です。トライの終盤になってくるとどうしてもデータを直接修正することになるのですが、トライアウトには独自の修正ノウハウがあり、ここの部分がデータの履歴に残らなないので、蓄積できない状況になっています。今後は、トライアウトのノウハウが工程設計や型設計にうまく蓄積されるような環境整備が必要であると考えています。

これら今後の課題について、対応策、解決策を2点ほど考えてみました。

まず1点目として、工程設計とダイレイアウト設計における、パラメトリック機能の適用があげられます。

パラメトリックで作成されたモデリングデータと、成形性用の解析ツールをうまく連携させて、工程設計の品質向上を図っていきたいと考えています。このあたりはCADCEUSのダイフェースの設計支援パッケージを適用すればうまく実現できると考えています。

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つぎに、解決策の2点目として、トライ工程のノウハウの蓄積について、どうやっていくかを考えてみました。さきほど課題のところでお話しましたが、金型の最終工程、トライアウトの段階になると、金型の納期が問題になります。納期に追われてデータを直接修正して型に反映させてしまう、またデータの変更をせずにハンドワークで金型を直してしまうという部分がまだあり、これが我々の大きな悩みのひとつになっています。

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これでは工程計画や型設計にトライアウトのノウハウがなかなか入り込まない、設計したときの意図とトライアウトの結果がノウハウとして蓄積できない、次の車型以降への反映等がなかなかできない、という問題が出てきます。この問題への対応として、トライの狙いと実績をスケッチ管理してノウハウをデータベース化していくことで、工程設計だとか型設計のナレッジ運用を進めていくことを考えております。

以上のような対応を図っていく上で、日本ユニシスさんへの期待は非常に大きいものがあります。その期待の一つ目として、コンカレント開発への対応。要は、パラメトリック構造の応用力、柔軟性を向上させたCADの開発があげられると思います。

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さきほどからお話しているように、昨今の金型開発はリードタイムの短縮が求められ、前工程のコンカレント化が急速に進展しています。リードタイムを大幅に削減するために、型設計や型製作の工程計画とか、製品設計といった段階までコンカレント化して仕事を行っているのが現状です。

この場合上流工程で設変等のデータの変更があると、下流の工程では非常に大きな手直しが必要となります。このような設変に対する応用力があり、なおかつ柔軟な構造を持った、パラメトリック機能の開発をユニシスさんに是非お願いしたいと思っております。

続きましてユニシスさんへの期待2つ目です。私どもが進めてきた雛型による型設計、これを次のステップに進めたいと考えていますが、そのために型設計にナレッジの取りこみをやっていきたい。その部分の支援をお願いしたいと思っております。

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具体的には、デザインナレッジシートやデザインインフォメーションマネージャー等の新機能開発。ある程度まで半自動で設計できるようシステム構築を行っていきたいと考えていますので、そういったシステムづくりの部分においてユニシスさんの支援を期待しています。
     
  「自動車用プレス金型 ソリッド設計への取り組み」はこれで終了です。
   

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